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December 1, 2020by Mamoru Kakuda

ポリヌクレオチドを要素としたマーカッシュクレームについて、要素の選び方が適切であるかどうかについて言及している過去の特許庁審決があります(Ex parte Buyyarapu (Appeal 2018-006665))。

MPEP §2117 II. において、以下の2つの場合は、適切なマーカッシュクレームではないと規定されています。 (1) マーカッシュクレームのメンバーが一つの構造的な類似性を有さない場合、または (2) そのメンバーが共通の用途を有さない場合。したがって、マーカッシュクレームのメンバーの選択が適切であるためには、(1) マーカッシュクレームのメンバーが一つの構造的な類似性を有し、かつ (2) そのメンバーが共通の用途を有することが必要です。

本出願は線虫 (RN) 抵抗性を有する綿花を製造する方法に関し、第1世代の綿花が少なくとも、RN抵抗性形質に結びつく少なくとも一つの遺伝子マーカーを有し、そのマーカーがマーカッシュ形式で記載された5つのヌクレオチド配列から選ばれる点が一つの特徴でした。

審査官は、5つのヌクレオチド配列は、リン酸ジエステル骨格以外に、genus全体で共通する構造を持たないこと、及び形質発現について互いに異なる効果を有するという理由で、少なくとも実質的な構造的特徴を有していないか又は共通の用途を有していない、と判断し、この出願を拒絶しました。

審判において、審判請求人は、糖リン酸塩骨格に加えて、クレームされた遺伝子マーカーはすべて21番染色体のRN抵抗性遺伝子座の近くに位置しているので、構造的な共通性があり、この共通性が、共通のRN抵抗性に結び付いている、と主張しました。

審判部は、以下の理由で5つのヌクレオチド配列はマーカッシュクレームのメンバーとして適切である、と判断しました。

(1) マーカッシュクレームのメンバーの構造的類似性は、全体として (as a whole) 判断する必要がある。

(2) したがって、ヌクレオチド配列がマーカッシュクレームのメンバーになっている場合は、その配列の差異だけを見るのは正しくない。

(3) 本件の場合は、マーカーが、綿花ゲノムの中でお互いに物理的に近い位置にあるという構造的特徴を共有している。

(4) また、データは、マーカッシュクレームのメンバーであるマーカーは他のマーカーより、わずかにRN抵抗性が高いかもしれないことを示している。マーカッシュクレームのメンバーがRN抵抗性のマーカーとして有用であることを否定する証拠はない。

以上のように、マーカッシュクレームのメンバーが適切であるかを判断する際は、クレームされた発明との関連で各メンバーの構造を全体として検討することが重要です。

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by Mamoru Kakuda

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