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September 3, 2020by Mamoru Kakuda

2020年4月8日に米国CAFCは、クレームされた物質に関する数値範囲と引例に記載された類似物質に関する数値範囲とが重なる場合、prima facie case of obviousness と判断し得る、と判示しました(Valeant Pharmaceuticals Intl. v. Mylan Pharmaceuticals Inc. (Fed. Cir. 2020)) 。

Valent 社はメチルナルトレキソンまたはその塩の溶液を含む薬学調剤の特許を持っており、ANDA 申請を行ったMylan社を、この特許を侵害するとして、ニュージャージー州連邦地方裁判所に提訴しました。特許のクレームは、メチルナルトレキソン溶液のpHを3.0から 4.0にすることによって、溶液を安定化させるものでした。

地裁で、Valent社はクレームは自明ではないのではないというsummary judgmentを求め、裁判所はそれを認めました。主な理由は、Mylan社の主張する引用例は、類似ではあるが異なるナルキソンおよびナルトレキソンを記載しているだけで、メチルナルトレキソン調剤に関する記載がない、というものでした。各物質の化学式を下に示します。Mylan社はCAFCに控訴しました。

CAFCで、Mylan社は、地裁は、(1) 類似の化合物のpH範囲が本願物質のpH範囲と重なっているのに prima facie case of obviousnessを認定しなかった、また、(2)事実問題に争いがあるのに、サマリージャッジメントをした、という2点に誤りがあると主張しました。

CFACは、Mylan社の主張を認めました。まず、公知例と重なる範囲は、prima facie case of obviousness を証明するのに十分であることを指摘したうえで、3つの化合物はよく知られたオピオイド拮抗薬であり、顕著な構造的、機能的類似性があるので、安定性に関する理想的な調合についても同じ特性を共有する蓋然性が高い、と判断しました。したがって、少なくとも、prima facie case of obviousnessは生じるので、サマリージャッジメントを下した地裁の判断は誤りである、とし、この事件を地裁に差し戻しました。

なお、CAFCは、類似の構造と機能が持てばいつも類似の特性を持つと期待できると誤解してはならず、地裁では、クレームされたpH範囲の臨界性を示すなどのValent社の反駁が考慮されるべきである、と付け加えています。

Mamoru Kakuda

by Mamoru Kakuda

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