mountain-lake-1030924_1280.jpg
April 15, 2021by Mamoru Kakuda
2021年4月7日、CAFCは特許のライセンシーは、その特許に関するIPRの決定について控訴するためのArticle III standing (原告適格) を有さない場合があるとの決定をしました (Apple Inc. v. Qualcomm Incorporated (Fed. Cir. Apr. 7, 2021))。

Qualcomm社はその2件の特許を侵害するとしてApple社を連邦地方裁判所に提訴し、Apple社は特許庁にその2件の特許に対してIPRの請願をしました。IPRでは、Apple社はQualcomm社の2件の特許が特許されるべきでないことを証明していないというfinal written description が出ましたが、その前に両社はすべての世界中の訴訟について和解しました。両社は連邦地裁での裁判の却下を求めるmotionを提出し、地裁はこれを認めました。しかしながら、Apple社はその後2件の特許に関するIPRの決定について、CAFCに控訴しました。

論点は、Apple社がArticle III standingを有しているかどうかでした。両社の和解のもとになるライセンス契約によると、ライセンス期間は6年間 (2年間の延長可能)でした。

CAFCにおいて、Apple社は以下の理由でApple社はstandingを有すると主張しました。

    1. ライセンス契約において、支払い義務が継続している。
    2. ライセンス契約の終了後にApple社はQualcomm社から提訴されるおそれがある。
    3. IPRの決定が確定すると、2件の特許について将来有効性を争う際にestoppelが生じる。

CAFCは以下の理由で、Apple社の主張を認めませんでした。

    1. Apple社は、MedImmune, Inc. v. Genentech, Inc., 529 U.S. 118, 120 (2007)を引用して、ライセンス契約に含まれる他の特許の状況に関わらず、ライセンス料の支払い義務を元にstandingを有すると主張している。しかし、Apple社の主張によると、たとえ、10万件の特許を含むライセンスにおいて、その中の一つの特許の有効性について、それがたとえライセンス料の支払いに影響を与えなくとも、ライセンシーはstandingを有することになる。しかし、MedImmune事件では、原告は、「原告の製品が特許の有効なクレームに侵害しておらず、ロイヤリティーを支払う必要がない」、ということの確認を求めてdeclaratory judgment を提起しており、最高裁は、MedImmune社はdeclaratory judgmentの提起前にライセンス契約を終了する必要がないことを判示した。対照的に、本件では、Apple社は2件の特許の有効性がライセンス契約における権利に影響することを主張しておらず、これは致命的である。したがって、MedImmune事件は、本件に適用されない。
    2. Apple社はライセンス契約の終了後にQualcomm社から提訴されるおそれがあると主張するが、これでは実際の被害 (injury)を示すには十分でない。Apple社はGrit Energy Sols., LLC v. Oren Techs., LLC, 957 F.3d 1309, 1320 (Fed. Cir. 2020) を引用して、Qualcomm社が以前に訴訟をしたという事実がApple社のstanding の存在を示すと主張するが、Grit Energy 事件では、裁判はwithout prejudice で却下されているが、本件ではwith prejudice で却下されている。このように状況が異なるので、Apple 社の主張は採用できない。また、Apple社は、Qualcomm社が2つの特許に対するApple社の恒久的な権利を認めることを拒否した事実や、Qualcomm社のライセンス契約後の特許主張の歴史がApple社のstanding の存在を示すと主張するが、Qualcomm社が特定の特許に基づいて特定の製品に対して権利主張するであろうという具体性に欠けており、十分ではない。
    3. また、Apple社はIPRの決定が確定すると、2件の特許について将来有効性を争う際にestoppelが生じる、と主張するが、CAFCはすでに、estoppelの発動はstandingの十分な根拠にはならないことを、AVX Corp. v. Presidio Com-ponents, Inc., 923 F.3d 1357, 1362–63 (Fed. Cir. 2019) で示している。

以上のように、特許の有効性がライセンス料の支払いに影響を与えない場合は、特許のライセンシーは、その特許に関するIPRの決定について控訴するためのarticle III standing を有さない場合があります。

Mamoru Kakuda

by Mamoru Kakuda

Mamo’s extensive background includes a tenure of over 20 years as an IP professional in a renowned Japanese chemical company. During this time, he developed an elite insight into Japanese companies’ operations and IP practices. Consequently, Mamo is esteemed for his astute counsel which guides his diverse clientele on their best course of action, obtaining patents effectively and efficiently.