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November 5, 2020by Mamoru Kakuda

侵害が主張されていないクレームを含むクレームについて、被告が無効の反訴をした場合、IPRがinstituteされうるか、という問題について判断した特許庁審判部の命令 (Order) が2020年9月2日に出ています (AMP Plus, Inc. (dba ELCO Lighting) v. DMF, Inc., Case IPR2019-01094)。

DMF社は、ELCO社に対して、特許侵害の訴えを連邦地裁に行いました。訴状には、「少なくともClaim 1およびその従属項を含む複数のクレーム」にELCO社が侵害しているとの訴えが記載されていました。DMF社は、答弁書を提出し、反訴しました。その後、両社は、ELCO社の無効の主張を補正するgood causeがあるという点にDMF社は争わないという同意をしました。ELCO社は第2の答弁書を提出して反訴し、その後、特許庁にIPRの請願を提出しました。

DMF社はIPRの請願は特許法315条(a)(1)の規定によって、instituteされるべきでないと主張しました。特許法315条(a)(1)の規定は以下の通りです。

An inter partes review may not be instituted if, before the date on which the petition for such a review is filed, the petitioner or real party in interest filed a civil action challenging the validity of a claim of the patent.

DMF社は、地裁ではクレーム1, 2, 5, 7, 9-11, 13, 15-16に対して侵害があると主張したのであって、クレーム12, 17, 20, 22, 27に対しては主張していない、IPRはクレーム12, 17, 20, 22, 27 に対するchallengeを含んでいるので、特許法315条(a)(1)の規定により、institutionは禁止される、と主張しました。すなわちDMF社は、特許法315条(a)(1)の規定は、claim-by-claimで判断されるべきであると主張しました。

これに対し、ELCO社は、反訴は強制的なものであって独立した civil actionではないので、特許法315条(a)(3)が適用されて、IPRのinstitutionは禁止されない、と主張しました。特許法315条(a)(3)の規定は以下の通りです。

A counterclaim challenging the validity of a claim of a patent does not constitute a civil action challenging the validity of a claim of a patent for purposes of this subsection.

特許庁審判部は以下の理由で、ELCO社の主張を認めました。

    1. 特許法315条(a)(3)の文言は、ELCO社の主張をサポートしている。
    2. 連邦民事訴訟規則 (Federal Rule of Civil Procedure) 13条(a)は、答弁書には、相手方の主張の主題である取引や出来事 (transaction or occurrence) に起因するあらゆる請求を反訴として記載しなければならないことを規定している。この規定は同一の対象についての複数の訴訟を防ぐ目的で設計されたものであり、また、裁判所は、 “transaction or occurrence”という語は民事訴訟規則のポリシーを推進し、規則13条(a)の哲学を遂行するために柔軟に解釈されるべきだと合意している。したがって、この特許のいかなるクレームに対しても、無効の主張は答弁書の中で強制されている。
    3. DMF社は、 Reddy’s Labs v. Horizon Pharma USA, Inc., IPR2017-01995, Paper 77 at 5 & n. 4 (Horizon) をその主張のサポートとしているが、Horizon では、IPRの請願者は地裁で侵害主張された特許以外の特許について、IPRを請願しているので、本件とは区別される。
    4. また、たとえ、DMF社の主張が説得力があるとしても、地裁は、どのクレームについて侵害を主張しているのかをはっきりと区別することができなかった。したがって、訴訟が提起された時点で侵害が主張されたクレームの範囲を超えた反訴が第2の答弁書で行われたというDMF社の主張には根拠がない。

すなわち、この命令では、特許庁審判部は、侵害の主張のないクレームに対して反訴で無効を主張した場合であっても、後にそのクレームに対するIPRがinstituteされうると判断しています。

by Mamoru Kakuda

Mamo’s extensive background includes a tenure of over 20 years as an IP professional in a renowned Japanese chemical company. During this time, he developed an elite insight into Japanese companies’ operations and IP practices. Consequently, Mamo is esteemed for his astute counsel which guides his diverse clientele on their best course of action, obtaining patents effectively and efficiently.