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October 21, 2020by Mamoru Kakuda

2020年10月2日、米国CAFCはジェネリック医薬品に対して誘引侵害(induced infringement)を認定する判決をしています (GlaxoSmithKline LLC v. Teva Pharmaceuticals (Fed. Cir. 2020))。

本件は、カルベジロールという一般名の薬剤に関する訴訟です。GlaxoSmithKline(GSK)社のカルベジロールと関係する化合物に関する特許は1985年に発行され、2007年3月5日に満了しています。FDAは当初カルベジロールを高血圧症の薬として承認していました。後にカルベジロールはうっ血性心不全にも効果があることがわかり、1997年、FDAはカルベジロールをうっ血性心不全の薬として承認しました。カルベジロールをうっ血性心不全の薬として、ACE阻害剤、利尿薬、ジゴキシンなどとともに処方する方法は、GSK社の特許(‘069特許)として、1998年の6月2日に発行されました。さらに2003年、FDAはこの組み合わせの心筋梗塞後の左心室機能不全患者への処方を承認しました。

Teva社は、2002年3月1日、ジェネリックのカルベジロールをANDA申請し、‘069特許を無効または非侵害であるとしてパラグラフIVのcertificationをし、GSK社に対して、’069特許は無効であるとのパラグラフIV通知をしました。Teva社は、FDAから高血圧症と心不全の処方薬としての仮承認を受け、2004年6月9日、その旨のプレスリリースをしました。

これに対して、GSK社は‘069特許について2003年11月25日にreissueの出願をしました。’069特許は、処方方法の限定を追加した上で再発行特許(‘000特許)として2008年1月8日に発行されました。

2007年にカルベジロールおよびその関連化合物に関するGSK社特許が満了した後、Teva社はジェネリックのカルベジロールの販売を開始しました。その時のラベルには、左心室機能不全と高血圧への処方が指示されていましたが、うっ血性心不全に処方することについては記載されていませんでした。Teva社のプレスリリースとその時のマーケティング資料には、そのカルベジロールはGSK社のCoreg®タブレットのAB Rated ジェネリックであるとの記載がありました。

その後、2011年にFDAはTeva社にカルベジロールのラベルに承認されたGSK社のCoreg®のラベルと同じ内容のラベルに変更するように要請し、Teva社は心不全への処方指示を含むようにラベルを修正しました。

2014年7月3日GSK社はTeva社をデラウエア州区連邦地方裁判所に’000特許を誘引侵害するとして提訴しました。陪審裁判において、Teva社は特許の無効性と、2007年のラベルからうっ血性心不全に関する処方情報を削除していたのであるから、少なくとも2011年のラベルの修正以前には誘引侵害はないと主張しました。地方裁判所は陪審員に、「GSK社が、Teva社と直接侵害者である第三者とがコミュニケーションして、そのコミュニケーションがその第三者の直接侵害の原因になっていることを証明しなければ、Teva社に責任は生じない、ただし、その証明は直接証拠ではなく、状況証拠によってもよい」というinstructionをしました。陪審員は、Teva社の誘引侵害は存在し、かつそれは故意侵害であると認定しました。

その後、地方裁判所は、Teva社のJMOLのmotionを許可し、2007年時点でさえ、医師は、Coreg®の様々な使用方法を知っており、GSK社のマーケティングに加え、自身の経験、ガイドラインや研究によって薬を処方していたのであるから、直接侵害がTeva社に起因するとは言えず、誘引侵害の評決は実質的な証拠にサポートされていない、と認定しました。GSK社はCAFCに控訴しました。

CAFCは地裁の判決を以下の理由で棄却しました。

    1. GSK社の専門家証人は、2004年のプレスリリースや2007年のプレスリリースからすると、医師は、Teva社のカルベジロールはGSK社のCoreg®のジェネリック品であって、心不全に用いることができると信じるだろう、また2008年のカタログリストにはAB ratingという語がつかわれており、医者は治療学的にGSK社のCoreg®と置換可能であると考えるだろう、と証言した。
    2. Teva社の専門家証人は、うっ血性心不全に関し得てラベルから削除しても、高血圧症等に関して削除していないなら、Teva社は依然として医師がカルベジロールを心不全に処方することによる売り上げを期待するか、という質問にYesと答えた。
    3. GSK社の規制プロセスに関する証人は、AB rating という語はもしそのジェネリック製品がラベル通りに使用されれば、先発医薬品と同じ臨床的効果が得られる、という意味であると証言した。
    4. Teva社は、2004年や2007年のプレスリリースは‘000特許の再発行前に行われたので誘引の証拠にならないと主張しているが、2007年のプレスリリースは再発行後もTeva社のウエブサイトに掲載されていた証拠がある。
    5. 陪審員は正しくinstructionされていた。
    6. 地方裁判所は、医師はその前にどのようにカルベジロールをうっ血性心不全に処方知っていたのだから、侵害がTeva社によってい引き起こされたとは言えないと、判断したが、法的な基準を誤っている。同一の製品の提供者が直接侵害行為を知っており、その同じ製品を直接侵害行為に向けてマーケティングしたときは誘引侵害の基準を満たす。
    7. 製品ラベルの内容が誘引侵害の証拠になることは先例に示されている。

なお、Prost判事は、このような判断は、ジェネリック製品を、特許されていない使用方法について、特許方法を除いたラベル(いわゆる “skinny label”)でマーケティングできることを定めた21U.S.C. §355(j)(2)(A)(viii)の意図に沿わないとして、dissenting opinionを出しています。

本件は、いわゆるskinny labelを用いたとしても、ジェネリック製品の販売は、状況次第で誘引侵害になり得ることを示しています。

Mamoru Kakuda

by Mamoru Kakuda

Mamo’s extensive background includes a tenure of over 20 years as an IP professional in a renowned Japanese chemical company. During this time, he developed an elite insight into Japanese companies’ operations and IP practices. Consequently, Mamo is esteemed for his astute counsel which guides his diverse clientele on their best course of action, obtaining patents effectively and efficiently.