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October 29, 2020by Mamoru Kakuda

2020年10月15日、米国CAFCは、broadest reasonable interpretation 基準のもとで明細書を参酌したクレーム解釈を行った判決をしています (St. Jude Medical, LLC v. Snyders Heart Valve LLC (Fed. Cir. October 15, 2020))。なお、このケースは2017年に申請されたIPRにおけるクレーム解釈なので、審査官の行う通常の審査と同様に broadest reasonable interpretation基準がクレーム解釈に適用されています。2018年11月13日以降に申請されたIPRにはfederal court claim construction 基準が適用されます(米国特許庁通知をご参照ください)。

St. Jude社は、Snyders社の所有する人工心臓弁に関する2件の特許に対して、IPRを申請しました。特許庁審判部は、そのうちの1件については、特許性は否定されないと判断し、もう1件については、一部のクレームが引例からanticipateされるとして、そのクレームの特許性を否定しました。

一部のクレームの特許性が否定された特許の代表的なクレームには、以下の文言が含まれていました (強調部分追加)。

An artificial valve for repairing a damaged heart valve having a plurality of cusps separating an up-stream region from a downstream region, said artificial valve comprising:

a flexibly resilient frame sized and shaped for insertion in a position between the upstream region and the downstream region, the frame having a plurality of peripheral anchors for anchoring the frame in the position between the upstream and the downstream region and a central portion located between the plurality of peripheral anchors,

IPRで、特許庁の審判部は、クレーム中の“sized and shaped”という語は、「上流領域と下流領域との間の位置への挿入のために大きさと形を調整された」としかクレームに記載されていないのであるから、問題のある元々の弁を除去する場合と、除去しない場合の両方と含むと解釈していました。

St. Jude 社、Snyders社の両方がCAFCに控訴しました。 CAFCにおいて、Snyders 社は、クレームの “sized and shaped” という語は、問題のある元々の弁がその場に残された状態で大きさと形を調整されている、という意味に解釈されるべきであるが、IPRで引用された引例は、問題のある元々の弁を除去することが必須要件であるので、クレームは引例とは区別されると、主張しました。

CAFCはSnyders社の主張に以下の理由で同意しました。

    1. 何らかの方法で「frameが“sized and shaped”される」という要件は、単なる位置を規定しているのではなく、frameが周りの材料(これは、元々の弁が残っているかどうかに依存する)にいかに適合するかに焦点を当てていることを示唆している。クレームは「損傷した心臓弁を修復する(“repairing a damaged heart valve”)ことを要件としており、弁を除くことは要件としていないのだから、もともとの弁は残っていることを示唆している。また、クレームは「損傷した心臓弁が複数の尖頭を有している(“the damaged heart valve having a polarity of cusps”)」ことを要件としているので、もし、損傷した弁が取り除かれるのであれば、この要件は過剰であることになる。
    2. 明細書には、人工弁のフレームは損傷した心臓弁の複数の尖頭の間に挿入されるように “sized and shaped” されることが記載されている。また、明細書は人工弁はもともとの弁を取り除かずに挿入できることが、この発明の公知例に対する改善点であることを強調している。さらに、明細書には、IPRで使われた引例が、その問題点の明示とともに記載されている。

Broadest Reasonable Interpretation において、クレームは明細書に照らして合理的に解釈されるべきであることに、注意すべきです。一方で、明細書を参酌しなくとも、出願人の意図するように解釈されるように、クレームを記載することは重要です。

Mamoru Kakuda

by Mamoru Kakuda

Mamo’s extensive background includes a tenure of over 20 years as an IP professional in a renowned Japanese chemical company. During this time, he developed an elite insight into Japanese companies’ operations and IP practices. Consequently, Mamo is esteemed for his astute counsel which guides his diverse clientele on their best course of action, obtaining patents effectively and efficiently.